生成AIがまだ苦手なこと
できることを知るよりも、失敗のパターンを知ることのほうが価値があります。できることはデモを見れば明らかですが、失敗は具体的かつ一貫していて、商品ページに届いてしまえば大きな損失につながります。
文字とロゴ
パッケージの記載文、成分表示、型番、ブランドマークなど、商品の一部となっている文字は、生成AIの失敗が最も目に見えて現れる部分です。もっともらしい字形ではあるものの単語になっていない文字列や、自社のものではない言葉が生成されます。印刷されたパッケージを含む商品では、文字は元の写真に写っているものを使い、生成AIに描き直させてはいけません。
細かく反復する構造
縫い目、ニットの編み目、メッシュ、彫刻、ネジのねじ山、ファスナーの務歯などです。モデルは反復を再現するのではなく近似するため、購入者が拡大表示するまでは十分に見えてしまいます。そして購入者は、まさにこうした点が重要な商品でこそ拡大表示するのです。
機能に関わる構造
ヒンジ、端子、可動部の仕組み、ストラップの実際の取り付け方、バックルの穴の数などです。これらは商品が購入者の目的に合うかどうかを左右する details であり、微妙に間違っているほうが、うまく写っていないよりも悪い結果を招きます。もっともらしく見えてしまうからです。
共通しているのは、購入者が判断を下す部分こそ生成AIが最も弱いという点です。そこは画像の中で情報量が多い部分であり、同時にモデルが最も保持する理由を持たない部分でもあります。
色の再現性
ライティングを変えると色が変わります。「セージ」と表記された衣料品がグレー寄りに1段階ずれて生成されれば、それはデザインの問題ではなく返品の問題です。色が購入の判断基準になる場合は、生成結果を元のファイルと比べるのではなく、実物の商品またはカラーマネジメントされた参照物と照合してください。
サイズ感
生成されたシーンの中の商品には、本来のサイズという概念がありません。モデルはランプほどの大きさのボトルや、ベッドほどの大きさのクッションを平然と生成します。サイズ感が重要な場合は、大きさの分かる参照物を一緒に写すか、商品リスティングに寸法を明記し、画像だけでサイズを伝えようとしないでください。
運用体制の組み立て方
- 商品は一度、きちんと撮影してください。それが以降のすべての工程における基準となります。
- 生成で変えるのは光、背景、コンテクストまでとし、商品そのものの表面のディテールには手を加えないでください。
- 印刷されたパッケージが目立つカテゴリーや、細かなテクスチャーのあるカテゴリーは、補正的な編集のみに回してください。
- 「生成しない」リストを用意してください。確認にかかるコストに見合わないカテゴリーもあります。